変動損益計算書を経営に生かす方法

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こんにちは、前回のブログで損益分岐点売上高についてお伝えしました。

損益分岐点売上高とは

まず前回の復習をしましょう。

 

損益分岐点売上高とは、限界利益と固定費が等しくなる売上高のことでしたね。

そして限界利益や固定費を把握するためには、経費(売上原価、販売費および一般管理費と営業外損益)を変動費と固定費に分類するところから始めました。

 

次に、限界利益は売上高-変動費で確認できます。

限界利益率は限界利益÷売上高ですので、限界利益と固定費が等しいということは、

限界利益=損益分岐点売上高×限界利益率=固定費、ということになります。

従って損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率ということになります。

 

変動損益計算書を経営に活用する

では経営判断にこの考え方をどう生かせばいいのでしょうか。

 

いくつかのケースに分けて考えていきましょう。

事業計画の策定

目標売上高からのアプローチ

まず事業計画を策定する場面ですが、よくされているのはまず売上高の目標を決めてその後必要経費を算出して差額としての利益を計算する方法ではないでしょうか。

 

個人的にはこの考え方(アプローチ)は決して諸手を挙げて推奨するものではないのですが、どうしてもこの発想から脱却できない方もおられると思います。

でも大丈夫です。このアプローチでも変動損益計算書の考え方はとても役に立ちます。

 

このケースの場合まず売上高(目標。具体的な内訳まであるかどうかは不明)があります。

既にこの会社(事業)の限界利益率や固定費額はわかっているのですから見込み利益額の推定計算は簡単ですね。

つまり、(目標)売上高×限界利益率=限界利益

経常利益=限界利益-固定費

となります。

目標売上高を増減させて経常利益の推移を確認することも容易です。

目標利益額からのアプローチ

次に目標利益がある場合の事業計画の立て方です。

個人的にはこちらのアプローチで事業計画を策定するべきだと思っています。

 

この場合はまず目標利益額(これは事業を維持するための最低限の金額であったり、大きく飛躍するために必要な金額であったりします)が設定されます。

限界利益率や固定費がわかっているのは同じなので

目標限界利益=目標経常利益+固定費

目標売上高=目標限界利益÷限界利益率

となり目標売上高が計算されます。

 

ここで皆さんは「ちょっと待った!」と思われることでしょう。

目標売上額を達成するには?

そうですね。ここで導かれた目標売上高が会社(事業)として到達可能な程度かどうかわかりませんよね。もしかすると今の売上高の倍以上の売上高が必要になるかもしれません。今の会社(事業)が大きく成長する段階で売上高を倍にすることも十分可能であるようなケースは別として普通は売上高を倍にすることは非常に困難(ほとんど不可能)だと思います。

 

では、目標利益をあきらめて利益水準を引き下げなければならないのでしょうか。

ちょっと待ってください。

 

これからがマネジメント力が試されるところです。

もう一度変動損益計算書をよく読み込みましょう。

 

例えば固定費は不変でしょうか?削減の余地はないのでしょうか?

 

ただし、いくら固定費削減といっても人件費を安易にカットすることは避けるべきです。

なぜなら、誰だって安易に給料をカットされると頑張ろうというモチベーションは上がりませんよね。

逆に他の部分は限界ぎりぎりまで削減しても給料は出来るだけカットしないという姿勢を従業員に示せば、従業員の頑張りも大きなものになるかもしれません。

人は会社(事業)にとって大事な財産です。

出来るだけ大切にしましょう。

 

次に変動費率も不変でしょうか?例えば仕入単価を少しでも引き下げる余地はないのでしょうか?

売上高を倍にすることは出来なくてもどの程度まででしたら引き上げることができるのでしょうか?

 

この3つの命題をド真剣に検討し実践していけば、案外当初の目標経常利益に近づけるのではないでしょうか。

 

言い換えればすべての場面で(現実離れした気合いだけの努力ではなく)今よりもう少し背伸びをすることで、到達不可能と思われていた目標に近づくことができるということを(空想ではなく)具体的にかつ実感として理解できるようになります。

 

会社(事業)をより高めて発展させていくための道筋を、普段見慣れている損益計算書を見るより見極めやすいのが、変動損益計算書の利点の一つだと言えます。

経営判断への応用

変動損益計算書のもう一つの利点は、事業計画だけではなく様々な場面での経営判断の判断基準にも使えるということです。

例えば会社(事業)は小売業を営んでおり商品は1個5,000円で販売しています。これにかかわる変動費(仕入原価等)は2,000円です。また会社(事業)の固定費は1か月あたり200万円です。(数値は単純化しています)

今月は今までに商品が600個売れています。

今の状態を変動損益計算書を使って表すと以下のようになります。

 

売上高

3,000,000

@5,000×600個

変動費

1,200,000

@2,000×600個

限界利益

1,800,000

固定費

2,000,000

経常利益

△200,000

 

ここで今月の目標利益が400,000円であるとするとあといくら売ればいいのでしょうか?

目標利益達成にはいくら必要か?

目標売上が400,000円であれば必要な限界利益は固定費+経常利益なので2,000,000円+400,000円の2,400,000円となります。

必要限界利益がわかれば限界利益率は60%(3,000円(5,000-2,000)÷5,000円)ですので必要な売上高は2,400,000円÷60%で4,000,000円です。

従って答えは金額で言えばあと1,000,000円、個数で言えばあと200個(1,000,000÷5,000)売り上げればいいということになります。

 

これを変動損益計算書で表せば以下のようになります。

 

売上高

4,000,000

@5,000×800個

変動費

1,600,000

@2,000×800個

限界利益

2,400,000

固定費

2,000,000

経常利益

400,000

 

値引き販売に応じるのは得策か?

では今最初の例示の状態だとして、単価が3,000円だったら250個買うという注文があった場合どう考えればいいのでしょうか?

なお、単に仕入れを増やすだけなので固定費は変わりません。

(安売りはしないというポリシーに反するとか、値崩れを起こすかもしれないとかいうことはここでは考えません)

 

受注前と受注分とそれぞれの変動損益計算書は以下のようになりますね。

 

受注前

受注分

売上高

3,000,000

750,000

@3,000×250個

変動費

1,200,000

500,000

@2,000×250個

限界利益

1,800,000

250,000

固定費

2,000,000

経常利益

△200,000

250,000

 

合計

売上高

3,750,000

変動費

1,700,000

限界利益

2,050,000

固定費

2,000,000

経常利益

50,000

 

 

この場合は注文を受けることで経常利益が増加することになりますので、この注文は受けた方がいいと言えるでしょう。

 

今回は変動損益計算書を経営に生かす考え方についてお話ししました。

 

 

わからないことやご意見がありましたらお問い合わせページよりいつでもご連絡ください。

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